オートポリスは海抜800m以上と標高の高い風光明媚な阿蘇の外輪山に位置しているサーキット。自然の地形を活かした高低差のあるダイナミックに流れるような中高速コース。徳留はここオートポリスとの相性が非常に良く、高い表彰台への登壇確率を誇る。 昨年の最終戦では猛追の末、劇的な2位表彰台を獲得している。 筑波からのインターバルの間に車体のメンテナンスや、出力向上の為マフラーの仕様変更を進めた。ベンチテストでは若干改善している。
1週間前に行われた事前テストは不安定な天候の中行われた。朝は雨が残り、山地特有の濃い霧が発生し走行が難しいものとなったが、午後には何とかドライで走行が可能となった。基本的にはマフラーを中心としたエンジンパッケージのテストを数種類行い、レースウィークへの方向性を探った。 レースウィークは安定した天候となった。日差しは強いが、平地より気温が低く気温は25度前後。路面温度も40度あたりで走りやすいコンディション。
金曜日の走行では、新しいスペックのマフラーに合わせてギアレシオを大幅に変更する等、レースに向けてのパッケージの把握とそれぞれのセッティングを詰めてきている。しかしながら徳留のラップタイムが思った様に上がって行かないのが気にかかる。
9時35分から35分間で行われる予選。気温は21度。路面温度は40度。 予選開始と共にコースイン。序盤は多くのライダーが集中しコースが込み合い、徳留はラインを塞がれラップタイムを上げられずにいる。 一旦ピットインの後再度コースへ復帰。 タイムを徐々に上げていくが、金曜日マークしている1分59秒3にも届かない。終盤にようやく1分59秒5をマーク。ラストのアタックではこれを更新することなく7番手で予選終了。徳留の過去のベストタイムは1'57秒前半。
足周りやタイヤへのフィーリングは悪くなさそうだが、やはりパワー不足が否めなく、単独走行ではマシンの高速セクションでの伸びが弱い。 明日のレースは3列目からの追い上げとなる為、順位を上げて行けそうな昨年のパッケージに変更することになった。合わせてギアレシオも全て変更し、スタッフ総出で夜遅くまで作業を行った。
朝8時からのウォームアップ。気温が低い中、仕様変更したマシンの確認を行う。大幅なギアレシオの変更により、コーナーによって使うギアや回転数の違いを確認しながらの走行。ウォームアップは6番手で終了した。
迎えた決勝レース。1年振りのオートポリスでのレース。3列目7番手グリッドにマシンを並べる徳留。レースは15周で争われる。スタート直前、フロントローの上原がエンジンストールさせバランスを崩しマシンを倒してしまう。グリッド上は一時騒然としレースは一旦仕切り直しに。
全車ピットでの待機から再度グリッドに着き、午前11時前J-GP3のレースがスタート。徳留は好スタートを切り4番手で1コーナーへ。トップを行く木内・尾野に比べ3番手KTMを駆る高杉のペースが上がらず、序盤でトップ争いに離される展開となる。徳留は一周目を4番手で通過。第2ヘアピンで彌榮にパスされ5番手。。
3周目には第1コーナーで彌榮を、4コーナーへの切り返しで高杉を立て続けにパスし3位に浮上。しかし4周目のホームストレートで高杉、彌榮、追い上げてきた上原と3台に一気に抜かれ一時6位に後退。直後の1コーナーで高杉を刺し返し5位。ペースの良い上原に食らい付きたいが、追う彌榮はコーナー区間で離されてしまう。
5周目最終コーナー進入で彌榮をパスし3番手に浮上するも、ストレートで抜き返される。上原に離された後、彌榮・高杉との三つ巴の争いから、高杉が遅れ、徳留・彌榮の師弟対決に発展。ラップ毎に順位を入れかえながら周回を重ねる。
コーナーでは勢いに乗る徳留。立ち上がりにかけ詰めるも、ストレートで勝る彌榮のスリップストリームから横にも並べないという苦しい展開。ピタリとマークしたままレースは最終ラップに突入。徳留は要所で仕掛けを試みるが抜くことは出来ず、5位でチェッカーフラッグを受けた。