遂に迎えた2016年の最終戦!

劇的勝利を飾った岡山ラウンドから約一か月。全日本ロードレース選手権は鈴鹿で遂に最終戦を迎える。
地元とも言える鈴鹿サーキットでチャンピオン獲得なるか。
ポイントランキングでは徳留が92ポイントでトップ。2位に88ポイントで栗原。その差4ポイント。
徳留のチャンピオン獲得の条件は、栗原の前でゴールは勿論、真後ろでも徳留に軍配が上がる。栗原にとっては、自分が勝って徳留との間に一人以上入れなくては逆転の可能性は無い。
いずれにしても徳留は得意としている高速コース鈴鹿で優勝を挙げるために集中力を高めている。
他の大会と違って鈴鹿では事前テストが行われない為、例年通り一日早い木曜日から走行が行われる。
徳留はテスト初日から他を圧倒する走りで周回し常にトップタイム。初日は2位にコンマ6秒、二日目となると2位に1.5秒の大差でリード。しかも多くのライダーが集団でスリップを使い合いながらタイムを上げているのに対し、徳留は常に単独での周回を続けており、安定して頭一つ抜きん出たペースを刻めている。

11月5日 土曜日 天気:晴れ 路面コンディション:ドライ
公式予選  1位 2’18”272
9時45分から行われる35分間の公式予選。
風も強く肌寒かった金曜までと打って変わり小春日和の予選日。木曜日の練習走行から好調の徳留は予選でも単独で走るために遅れてコースイン。
開始早々に伊達が2分19秒台に入れるが、徳留はすぐさま19秒前半でトップを奪う。昨日までと風向きの変わったコースを確認しながらペースアップを図り、セッションの前半で早くも唯一18秒台に入れトップをキープ。3番手以降は20秒台で続く。風の変化による違和感を感じていた徳留はピットに戻る。予選も終盤になると栗原と中村が19秒台に上げてくるが、残り10分で再度コースインした徳留は18秒台で周回しタイムアップ。ベストは2分18秒272。目標の17秒台には届かなかったが、2番手となった栗原を約0.8秒も引き離し堂々のポールポジションを獲得した。
アベレージタイムでも18秒台でコンスタントに周回出来ており、2番手以降に対してアドバンテージを持っている。マシンのトップスピードも安定して出ており、ライダーマシン共に絶好調。
レース当日もドライコンディションとなる予報。徳留が単独のレースを見せるのか。それとも栗原がペースを上げ岡山同様一騎打ちとなるか。注目の決戦となる。
11月6日 日曜日 天気:晴れ 路面コンディション:ドライ
ウォームアップ走行 1位 2’19”484
早朝8時から15分間のウォームアップ走行。天気は良いがもう11月。走行の始まる午前8時はまだ気温は上がらず路面温度も14度と肌寒い。
予選から特別なセッティングの変更もなくコースイン。
路面温度と気温の低さから乗り味の違いがあったようで、思ったようにタイムは上がらなかったものの、この走行も例に漏れず6セッション連続のトップタイムで終了した。
遂に鈴鹿決戦!
ポールポジションの徳留が好スタートを決めそのままホールショット。 1周目から徳留のペースは速く、後続を引き離しにかかる。
1周目を栗原と伊達の2番手グループに対し0.5秒、4番手以降には約2秒の差を付けコントロールラインを通過。
徳留は2’18秒前半と予選タイムと同じペースで、4番手以降より2秒速いラップタイムで周回。徳留、栗原、伊達の3台が早くも抜きん出ている。 2周目のMCシケイン出口で船田と中村が絡んで転倒するという混乱もあり、4番手以降はさらに離されてしまう。
徳留に喰らいついていた栗原が3周目のバックストレートエンドで徳留をパス。その栗原を伊達がシケインでパスしトップでコントロールラインを通過。3番手に順位を落とした徳留は2人の様子を伺いながら周回。しかし栗原と伊達が前に出るとそれまでの18秒台から一気に21~22秒台にペースが落ちる。20秒台で周回する宇井、安村の4位争いとの差が詰まっていく。
徳留は得意な中高速区間で自由自在に順位を上げるが、ヘアピンでは栗原が前へ。執拗に抜きにかかる栗原は、自分がトップチェッカーでも徳留が2位だとチャンピオン獲得のチャンスが無くなるため、何としても伊達を間に入れたいところだろう。ペースの落ちたトップ集団。徳留は8周目のS字進入でトップに上がると再び18秒前半にペースアップ。何とか喰い下がっているのは栗原。
伊達は急激なハイぺースについていけず1秒以上の遅れを取る。10周目、栗原が徳留をヘアピンでパス。伊達を追いつかせたい栗原はペースを落とす。スプーンカーブでは徳留が再度奪い返すも、バックストレートエンドで栗原が前。130R立ち上がりでは徳留が前に出るというドッグフ ァイトが展開され10周目が終了。11周目のホームストレートではあわや接触かという追い抜きで栗原が前に出るが、直後のS字進入で徳留が奪い返す。ヘアピンでは栗原、バックストレートで徳留。シケインで栗原が徳留のインから前に出ながら走路を塞ぎ、そのイン側から伊達が前に出る。徳留は伊達に続き3位で最終ラップに突入。徳留はホームストレートエンドで伊達をパスし、デグナーカーブ進入でトップ。直後のデグナー2つ目で栗原が強引に前へ。
徳留のスピードの落ちた隙に伊達が2位に上がる。徳留は西コースを3位で通過。最後のシケイン。伊達と栗原の突っ込み合いを見ていた徳留は、シケインからの立ち上がり加速で伊達をパスし2位へ。そのまま最終コーナーを駆け降りチャンピオン確定 のチェッカー!

徳留が僅か1ポイント差の117ポイントでシリーズチャンピオン獲得!2012年以来4年振りとなる王座奪還となった。
チャンピオンになりました。本当に良かったです!
応援して頂いた観客の皆さん、スポンサーさま、チームのみんな、サーキットのオフィシャルさんにも喜んで頂けて嬉しいです。

ちょっとヒヤヒヤなレース展開でしたが自分自身は至って冷静でした。
スタートは決まって、自分のペースで走れば離せるだろうと思っていたのですが、僕を風除けにして二人が付いてきたので"さぁどうしようかな"と思いました(笑)
自分自身でペースを作ることは出来ますが、二人が前に出ると、敢えてペースを落としているのか、上がらないのか?何せとても遅かったです。
いつものように無理矢理抜いてきてペースを乱す作戦なのは分かっていました。今日は伊達選手が僕らにとってタイトル争いを左右するライダーとなりました。最後は立ち上がり加速に全集中をしてパスしゴール出来ました。

僕もライダーです。出来ればレースに勝ちたかったですが、今回は「チャンピオンを確実に獲る事が最重要!」と心に決めていたので目的を達成出来て良かったです。
今年はチームオーナーの松永さんの計らいで藤岡メカニックと組ませてもらいました。彼はもともと凄く速かった後輩ライダーで、その経験を活かして支えてくれました。更に崎戸メカのサポートもあり、走ることに集中できる環境が揃っていました。まさに信頼して戦えるチーム体制でした。

開幕の筑波は昔の怪我の影響で本調子ではありませんでしたが3位。もてぎではぶっちぎりで勝てましたし、SUGOも勝てると思ってましたがまさかの赤旗で2位。岡山では接戦を制し逆転。そしてこの鈴鹿は全セッションでトップタイム。気持ちよく走れました。今年はシーズン通して一度も転倒がなく、また全レースで表彰台に上がれました。

45歳で歴代最年長チャンピオンの記録を作れたのも嬉しいです。

いつも応援して頂いているスポンサーさま、松永さんを始めチームプラスワンの皆とチャンピオンが獲得出来た事を心から感謝しています。